これまで有名人の起こした性犯罪事件でも、不起訴となったものは少なくないこれまで有名人の起こした性犯罪事件でも、不起訴となったものは少なくない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今月始め、人気俳優の新井浩文容疑者が強制性交の疑いで逮捕されるなど、性犯罪に注目が集まっている。2017年の性犯罪刑法改正は、強姦罪が強制性交等罪となるなど110年ぶりの大幅改正だった。しかしさらなる問題点も指摘されている。性犯罪の不起訴が多い理由はどこにあるのか。(取材・文/フリーライター 小川たまか)

 2月1日に報じられた、新井浩文容疑者の逮捕。出演作の多い人気俳優だったこともあり、多くの報道が行われた。その後、新井容疑者は所属事務所を解雇されている。

 事件が起こったのは昨年7月。場所は世田谷区にある新井容疑者の自宅マンションだという。被害者は派遣型マッサージ店の従業員。報道によれば、新井容疑者は「性的なサービスを提供する店でないことは知っていた」と話し、同店を最初に利用した際(昨年3月)に性的行為禁止について確認する書面にサインしていたという。

 新井容疑者は容疑を一部否認。性行為には及んだものの、暴行はしていない、つまり「無理やりではなかった」と話しているようだ。

強姦罪から強制性交等罪に
改正された理由

 2017年に性犯罪刑法は110年ぶりに大幅に改正され、罪名が強姦罪から強制性交等罪に変わっている。改正後は、「男性も被害者になった」と説明されることが多い。より厳密に説明すれば、改正前まで強制わいせつとして裁かれていた口腔性交の強要と肛門性交の強要も、強姦(膣性交の強要)と同等に扱われるようになったということだ。この基準は、すでに先進国の多くで採用されている。

「強姦」は「女性を無理やり姦淫する」という意味だったため、被害者の性別を限定しない「強制性交等」という名称に変更された。

 また改正にあたって他には、「非親告罪化」「懲役の下限を引き上げ(3年から5年へ)」「監護者性交等罪(親などの監護者による子どもとの性的行為についての規定)の創設」が行われた。