高給で引き抜いたのに実務能力なし…暴走した元銀行員部長の末路中小企業の社長が信頼できそうな人を大企業からヘッドハンティング!ところが仕事をやらせたら期待外れ。「うちは中小企業だから何でもやる気概で仕事をしてほしい」と言っても、「その仕事は平社員にやらせるべきだ」と他人に押し付けてトラブルに…!(写真はイメージです) Photo:PIXTA

1年前、社長自ら口説いて部長待遇で迎え入れた元銀行員の二見部長だが、入社してみると実務が全くできず、社長の頭痛のタネと化していた。ある時、二見部長の強引な提案でコンサルタントを雇うが、半年ほどで税理士から「コンサル料が高すぎる」との指摘を受ける。社長が契約解除を伝えると、二見部長は抵抗するが…。(特定社会保険労務士 石川弘子)

I製作所 概要
従業員数100名ほどの製造業。創業60年で業績は安定している。先代を継いだ2代目の社長は、時代に合わせた経営をするため会社の体制を整えたいと考えている。
登場人物
一瀬社長:2代目社長。大学卒業後、大手メーカーに5年ほど勤めてから父親の会社に入社し、10年前、社長に就任。現在58歳。大らかだが、物事を深く考えるのが苦手、人任せにしてしまうことがある。
三上主任:管理部の主任で人事・総務を担当している31歳の男性社員。高校卒業後に入社。仕事は丁寧で真面目。
二見部長:一瀬社長のゴルフ仲間だった元大手銀行員。1年前、社長に誘われて管理部長として入社。53歳男性。プライドが高く、自慢話が大好き。
七瀬:システムを担当している32歳の男性社員。
五味税理士:顧問税理士。一瀬が2代目社長となった際に、税務を引き受けた。気さくな性格で、顧客からの評判もいい。46歳男性。

自分の右腕になってほしい!
元銀行員を口説き落としたが…

 一瀬社長は、二見部長のことで頭を悩ませていた。1年前、銀行に勤めていた二見を「自分の右腕になってほしい」と社長自ら口説いて引き抜いてきたが、仕事が全くできないことが判明したのだ。ワードやエクセルなどの簡単なPC操作もままならず、何かを依頼しても、「それは私がやるべき仕事ではない」と言って他人に押し付けるありさま。

 そこで銀行員なら、せめて数字には強いかと思って経理をやらせてみた。ところが、二見部長は仕訳が分からないし、請求書を作成させると間違う始末…。