長年共和党のストラテジストを務めるロン・ボンジャン氏は「一般教書演説で与野党が一体化する場面は多く見られたものの、トランプ氏はロシア疑惑捜査や移民、中絶といった国論を二分した問題で支持層にアピールすることに時間を費やした。もはや与野党は何らかの大きな妥協を実現できないほど亀裂が深まっているので、演説を受けて状況は何も変わっていない」と話した。

 確かにトランプ氏は、1ヵ月余りにわたる政府機関の一部閉鎖が終わったばかりなのに、メキシコ国境沿いの壁建設要求を撤回する方針はまったく見せなかった。実際、演説の多くの部分はこの壁がいかに米国民のためになるかの説明に割かれ、中間選挙時と同じように「中米からの移民の『猛攻』を受けている」「国境は『無法状態』だ」「不法移民に『数えきれない』米国民が殺害されている」などと訴えた。

 一方で民主党側は、一部女性議員がトランプ氏の差別的言動に抗議する意味で白い服を着て議会に登場し、存在感を見せつけた。

口先と逆の本心

 またトランプ氏は演説の中で、ニューヨークとバージニアで中絶の権利を認める法律が存在すること批判し、米国の文化的な対立ムードを蒸し返しながら、キリスト教信仰心の強い一部有権者を引き付けようとしている。

 民主党の議会スタッフ経験が長いダウ・ソーネル氏は「今回の演説と以前のトランプ氏の集会で聞かれた言葉にほとんど違いはなかった。多くの人にとって、この演説はトランプ氏が国境の壁や移民の悪者化にこだわり続け、議会によるロシア疑惑捜査を異常なほど攻撃していることを思い起こさせるだろう」と冷ややかだ。