クレーマーと企業の攻防のイラストIllustration by Yukio Asaka

『週刊ダイヤモンド』2月16日号の第1特集は「あなたの周りのモンスター クレーマー撃退法」です。モンスタークレーマーは人手不足に悩む企業にとって、生産性を低下させる元凶になっています。店員に土下座を強要する、同僚に暴言を吐く、SNSに悪評を書き込む……そんなモンスタークレーマーが急増し、理不尽な要求を突き付けられるために精神的に参ってしまう人も少なくありません。中でも急増しているグレーゾーンのクレーマーは、対応を間違えると大きな問題に発展しかねず、担当者は戦々恐々としています。(本記事は特集からの抜粋です)

「昔は悪質なクレーマーへの対策だけやっておけばよかった。でも今は相手が普通の人なので、どう対処したらいいのか分からない」

 ある小売企業のクレーム担当者はそう悩みを打ち明ける。

 クレーマーは大きく三つに分類できる。正当な要求や苦情を訴えるホワイトゾーンの人、詐取や恐喝まがいの手口で金品をかすめ取るブラックゾーンのプロの人、その中間に位置するグレーゾーンの人だ(下図参照)。

 今、グレーゾーンのクレーマーが急増している。そのほとんどはごく普通の人なのだが、正当な要求を訴えるホワイトゾーンの人とは違って、たまっている鬱憤を晴らしたりするために理不尽な要求を繰り返すのが特徴だ。中には要求がエスカレートして、あわよくば金品をせしめようとする人もいる。

「普段ストレスをためている人が何らかのきっかけで爆発すると、厄介なグレーゾーンのクレーマーになる」

 企業のクレーム対応をサポートするエンゴシステム代表取締役の援川聡氏はそう分析する。