ロシアの監査法人FBKの戦略分析研究所のイーゴリ・ニコラエフ所長は、プーチン氏が新たな軍拡競争の予算を作るには、他の予算を削る必要があるだろうと指摘。社会向けの支出を縮小したり、政府系ファンドの資金に手を付けたりせざるを得なくなると予想する。

 もし軍拡競争が加速すれば、このようなシナリオが現実になる可能性が高まる。だがプーチン氏は、現在の政治情勢では国防費の増額に消極的だろうと、ニコラエフ氏は言う。

「実質所得や支持率の現状を考えれば、理想的ではない。国家プロジェクトの支出を削れば、反発も招くだろう」と、同氏は付け加えた。

 昨年再選を果たして任期が2024年までとなったプーチン氏は、差し迫った政治的圧力に直面しているわけではないが、支持率はこの13年で最低の水準に落ちている。今月行われた世論調査では、国が正しくない方向に向かっていると答えたロシア人の数が2006年以降で最高になった。

 ワシントンの動きに対し、プーチン氏が新型ミサイル開発も含めた同等の対抗措置を取ったことで、すでに怒りをあらわにしている国民もいる。

「新たな軍拡競争は楽しいのか」と書いたのは、ブロガーのウラジーミル・アキモフさん。「道路を修復して、国中の人が住んでいる木造の小屋を解体することから始めたらどうなのか」と、貧困対策に予算を使うよう訴えた。

(Andrew Osborn/翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

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