PwCのパートナーで中国と香港の債務再編・破綻処理チームを率いるテッド・オズボーン氏は「これまでなら国内の不良債権投資家は新規購入に向けて多額の借り入れが可能だったが、現在ではまったく資金を借りられない」と話す。

 不良債権価格の下落は、近年この分野に進出した上場企業のバランスシートを直撃している面もある。

 資産管理会社(AMC)と呼ばれる国有の不良債権処理機関でさえ、逆風にさらされている。中国華容資産管理公司は昨年上期に不良債権投資で得た税引き利益が61%も減った。ライバルの中国信達資産管理公司も昨年全体の利益が3割減少したと見込んでいる。減益となれば13年の上場以来初めてだ。

返金の催促

 ハゲタカファンドの1つ、浙江東栄股権投資のケースは現在の状況を説明するのにうってつけと言える。

 同社は昨年8月に運用していた不良債権資産が焦げ付き始め、不満を募らせる出資者に対して弁済の一環として米や牛乳などを配るはめになっている。不良債権投資に乗り出したのは3年前に中国株が急落した直後。16年3月にはゼネラルマネジャーがロイターに、不良債権投資事業の規模を数百億元に拡大し、年間約13%のリターンを稼ぐつもりだと話していた。足元を見れば、運用資産は90億元弱だが、2万人を超える投資ファンド出資者から返金の催促が続く。

 ある出資者は1月に満期を迎えた同社のファンドに200万元を投じていたものの、まだ返金してもらえず「どうしようもない」とため息をついた。

 同社の創設者は出資者宛ての書簡で、業界全体が流動性ひっ迫に苦しんでいると説明するとともに、3年以内の返金を約束している。

本番はこれから

 PwCによると、中国の銀行と4大AMCが抱える問題債権(不良債権やディストレス資産など)は1兆4000億ドル前後。景気の減速や規制当局が金融機関のバランスシート調整を急き立てていることから、問題債権はさらに増える見通しだ。

 オスボーン氏は「中国の不良債権サイクルは始まったばかりであり、まだ多くの年数続くと思う」と述べた。