少々乱暴な言い方ですが
アホなファイナンスを放っておけない

 このところ日本のスタートアップがNHKやAERA、日経ビジネスほかマスコミに取り上げられている。日本でもインキュベーターやスーパーエンジェルが毎週のように生まれ、スタートアップ・コンテストは花盛り。学生を含む若い世代にも注目され、アクセラレーター・プログラムでもその存在は目立っている。

 しかし、世の中そんなに甘いものではなく、簡単にうまくいくわけではない。

 ただし、起業熱が高まっているのは、経済全体にとっては良いことであり、応援されるべき現象だ。起業家たちは、応援され、注目されるばかりでなく、自らのビジネスにあるさまざまな課題を認識し、改善して進歩させなければ、事業内容は充実していかないことは言うまでもない。

 今回はスタートアップの資金調達について考えてみたい。最近の傾向として、小額な資金のみで贅肉のないスリムな財布でスタートする「リーン・モデル」が主流となっている。とはいえ、事業を始めるには、いくばくかの資金がなければならないし、成長のためにも資金調達は不可欠だ。

 日本の実情をみると、少々乱暴な言い方で申し訳ないのだが、「こいつらアホか(以後KAと記す)」と言いたくなるような資金調達例が少なくない。すでにベンチャー・ファイナンスを習得した方にはまどろっこしい話が多くなるが、今回はスタートアップ・ファイナンスの超基礎編ということで、事例とともに整理したい。

間違いだらけの
スタートアップ・ファイナンス

「投資家は僕らの夢にお金を出してくれるカッコイイ人」

 こんな呑気なことを言う起業家もいる。しかし、お金のこととなると特に、周りは起業家たちに常に都合よく接してくれるわけではない。結局は投資家との関係性も自分次第であり、うまく付き合っていかねばならない。

 スタートアップ先進国の米国でも、間違ったスタートアップ・ファイナンスはある。しかし、日本のそれは特に問題だ。

「新規の投資家として増資を引き受けて欲しいとあるスタートアップ企業に言われたので、その企業の話を聞くと、シード段階で30~40%も他の投資家に株を持たれていた。そんな状況では、もはや資本政策の組みようがないから、我々にとっては増資を引き受けるかの検討にすらのぼらない」

 日本のスタートアップの資本政策の“マズさ”を指して複数のベンチャー・キャピタリストはため息をついている。実際に、日本のスタートアップが、初期段階での資本政策の過ちで、次の資金調達がおぼつかなくなったり、経営陣が会社のコントロールを失ったりする例が、あちこちで見られる。