「場所」でプレッシャーをかける

 ありとあらゆる対抗策を考えたが、そのひとつが「場所」だった。
 アメリカの法律には「デポジション(証言録取)」というプロセスが定められている。これは、アメリカの法廷外で原告側弁護士が被告側証人を尋問する手続で、デポジションを日本のアメリカ大使館で行うこともできると規定されているのだ。

 そこで、私は強硬にアメリカ大使館でのデポジションを要求。日本で行うことになれば、原告側弁護士は飛行機代や宿泊代などを負担する必要がある。しかも、時差ボケと戦いながら重要な司法プロセスに臨まなければならないからだ。

 ささいな問題と思われるかもしれない。
 しかし、私は終始、「受けて立つ」と強気の姿勢を相手に明示し続けていた。そのプレッシャーに加えて、きわめて不利な場所での戦いを要求すれば、相手の戦意を萎えさせる効果は確実にある。実際、その後、相手側弁護士はクラスアクションを取り下げるに至ったのだ。もちろん、「場所」が決定打になったわけではないだろうが、これも、彼を追い詰める強力な武器になってくれたと思っている。