米自動車関税の発動は本当に杞憂か、日本が身構えるべき「2つのヤマ場」トランプ大統領が自動車関税棚上げの「約束」を反故にする可能性は?Photo: AFP/AFLO

警戒すべきは5月18日と6月2日

 米商務省は2月17日、通商拡大法232条に基づく自動車関税に関する報告書をトランプ大統領に提出した。その詳細は未公表とされているが、恐らくは「追加関税が妥当」との内容が含まれているとの見方が多い。

 具体的には全輸入車に対して最高25%の関税を検討するほか、電気自動車に代表される先進技術を使った自動車部品も対象となる可能性が想定される。報告書の内容もさることながら、市場の注目はこの報告書を受けたトランプ大統領の挙動にある。

 法律によれば、大統領は報告書提出から「90日以内」に内容を精査した上で、報告書が勧告する措置に関して最終決定を下す必要がある。その上で大統領による最終決定から「15日以内」にその措置が実施に至ることが法律で求められている。

 この「90日」と「15日」は具体的にいつを指すのか。「2月17日」の90日後は「5月18日」、そこから15日後は「6月2日」である。もちろん、あくまで「以内」であることからその限りではないが、本件については5月までに何らかの大きな動きがあると想定し、構えておく方が無難だろう。

 とりわけ自動車は欧州連合(EU)と日本にとって神経質な品目であるため、両者の現在の立ち位置も今後を見据える上では重要な論点とならざるを得ない。

 報告書の内容を吟味した上でトランプ大統領が「輸入自動車への関税はしない」と決断する可能性もないわけではない。だが、その場合、巨大な対米貿易黒字を有するEUと日本に対する最大にして最強のカードでもある輸入自動車関税を自ら放棄することになる。