原因は、米国以外の国々で景気見通しが悪化し、中銀が引き締め計画の延期、あるいは後退を迫られたことにある。

 このため、20日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でハト派姿勢が確認されたにもかかわらず、ドルと他通貨との金利差は縮まりそうにない。

 ブラックロックの投資ストラテジスト、リチャード・ターニル氏は「今年のドルの底堅さは、一部の人々にとっては意外だ。しかしFRBの引き締めを休止させているのと同じ要因、つまり世界経済の減速と金融環境の引き締まりが、他の中銀もハト派姿勢へと向かわせている」と話した。

 ECBの場合、今年は利上げを開始すると予想されていたが、今では貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を通じ、あらためて緩和に乗り出すとの見方が増えている。

 日銀は、必要になれば追加緩和を行うと表明し、オーストラリアとスウェーデンの中銀は利上げ計画を考え直すと示唆した。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのロジャー・ホーラム最高投資責任者によると、ユーロは現在の1ユーロ=1.13ドルから今年1.20ドルに上昇するというのが大方の予想だ。しかし貿易が減速し、米経済が潜在成長率を上回る成長を示す兆しがあるため、ユーロの上昇は妨げられる可能性があるという。

 ホーラム氏は重要な要素として、ECBがハト派姿勢を強めたことに市場は対応する必要があると指摘。「今後数ヵ月、金利差は米ドルに有利に働きそうだ」と述べた。

 FRBは近く、バランスシートの縮小停止計画を発表する見通しだ。しかし最新のFOMC議事要旨は、市場が考えていたほどハト派の内容ではなかった。メンバー間で意見が分かれており、利上げ局面は終結したと言うより、長い休止期間に入っただけかもしれない。

 アムンディ・アセット・マネジメントのグローバルFX責任者、アンドレアス・ケーニグ氏は「市場はFRBのハト派転換度合いを急いで織り込み過ぎた。相場は調整を迫られ、ドルに対して一定の支援材料になるだろう」と語った。

(Tommy Wilkes and Ritvik Carvalho記者)

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