「どうしましょうか」があふれていた職場をリーダーはどう変えたのか

かつて生産性ナンバーワンだった日本の製造業を中心とする企業が、なぜ世界の後塵を拝するようになってしまったのか。DOL特集『ルポ 闘う職場~働き方改革では生産性は上がらない』では、日本企業を覆う「仕事力損壊」の実態を浮き彫りにしつつ、そこからの脱却を目指す企業人たちの悪戦苦闘のドラマをリポートしていく。第8回は、「どうしましょうか」と上司に指示を仰ぐ姿勢がまん延していた職場のリーダーが、いかにして部署と部下を変えていったのか、つぶさに追った。(ライター 根本直樹)

最も怒られることが多い部署
ストレスフルな任務とは

「社内で最も怒られることが多い部署の1つ。基本的につらいことばっかりですよ」

 そう冗談めかして語る男の顔からは、「つらさ」などみじんも感じられないが、その仕事内容をよく聞けば、なるほど、相当なストレスがたまる仕事だということがわかるはずだ。

 樋口禎(45歳)は現在、横浜ゴム直需技術部内の直需技術1グループを取りまとめるリーダー(課長)の職にある。どんな仕事を担当しているのか。