京急の運賃値下げに
JRはどう出るか?

 加算運賃とは、1998年の空港ターミナルビル乗り入れにあたり、トンネル建設工事をはじめとする建設費700億円と利息など諸費用を回収するために、空港利用者に上乗せしている運賃である。京急は2017年の時点では、今後も空港線増強の設備投資が控えており、回収完了にはまだしばらく期間を要する見込みであると発表していたが、JR東日本の積極攻勢に対して、「値下げ」という切り札で先手を打った格好だ。

 このインパクトは絶大だ。東京モノレールは浜松町から羽田空港第2ビルまでICカードで483円であり、200円もの運賃格差が生じてしまう。東京駅からの運賃で比較しても、京急は452円(東京~品川間JR利用)、モノレールは637円(東京~浜松町間JR利用)だ。羽田アクセス線が開業するまでの10年間で、利用者をがっちり囲い込んでしまいたいという京急の強い熱意が感じられる。

 ちなみに羽田アクセス線は、現状京急・モノレールのいずれを乗り継いでも約30分を要する東京~羽田空港間を、乗り換えなしの20分弱で結ぶ予定。東京~羽田空港間約17kmを現在のJRの運賃表にあてはめると302円(ICカード)になるが、こちらも約3000億円の建設費を回収するために加算運賃が設定される。京急空港線や関西空港線の事例からしても加算運賃は少なくとも200~300円になるとみられ、京急は運賃上の優位を何とか保てそうだが、厳しい戦いになるのは間違いない。

 ただし、JR東日本は京急の運賃に真っ向勝負を挑んでまで、シェアを奪いにいくつもりはないと思われる。そのヒントとなる数字がある。羽田アクセスのシェアは、実は国内線旅客と国際線旅客で異なる傾向を示しているのだ。

 国土交通省の調査によると、2017年(平日)の国内線旅客の利用交通機関は京急が32%、モノレールが23%、リムジンバスが16%だった。一方、2016年の国際線旅客(全日)は、京急が30%、モノレールが16%、リムジンバスが24%である。なお国際線旅客について日本人と外国人の傾向は大きく変わらない。

 神奈川から千葉県まで広いエリアに直通運転する京急空港線がいずれも約3割のシェアを獲得しているのに対し、乗り換えが必須のモノレールは国際線ではシェアがかなり低い。その分支持を得ているのが、ターミナル駅から空港まで乗り換えなく移動できるリムジンバスだ。国内線旅客と比べて荷物が多い国際線旅客のニーズがここにある。