栽培方法について話す増井さん海藻農法でコメ栽培に取り組む金屋谷海藻農法普及会の幹部と栽培方法について話す増井さん(右) Photo:DW

『週刊ダイヤモンド』3月9日号の第1特集は「小規模農家こそ勝機あり 儲かる農業2019」です。本誌は例年、モデルとなる大規模農家を紹介してきました。今年は趣向を変え、小規模でも高収益な農家を重点的に取材。他人から支配されることなく、自分の責任で事業をやって稼ぎたい――。そんな経営者の理想を実現する「中小キラリ農業」に近づくにはどうすればいいのか、“秘訣”をまとめました。(本記事は特集からの抜粋です)

 中小規模の農家は、生産や出荷の作業に忙殺されて営業活動に手が回らない――というのが定説だ。

 しかし、鳥取県のりょうさんファーム(中小キラリ農家20位)の増井良平さんは、スマートフォンで簡単に情報発信できるフェイスブック(FB)を使い、効率的に優良顧客を獲得している。

 増井さんのFBページを見ると、白ネギの糖度を計測している写真が掲載されている。糖度は11.2と、ネギにしてはかなり高い。甘さの秘密は地域で採れる海藻を原料にした肥料を使っていることだ。

SNSにアップしたネギの皮むき動画増井さんはネギの皮むきなど作業の動画をSNSにアップする。これも消費者に親しまれるコツだ Photo:DW

 ネギの一本焼きにネギラーメン――。これでもかという更新速度でおいしそうなネギ料理の写真がアップされる。実際に、増井さんが納品先の外食店で試食して回っているのだ。FBの友達数は2000人で宣伝効果は小さくない。

 増井さんのFBの活用は商品紹介だけでは終わらない。

 大胆にも、卸売業者の社長や外食店の経営者など顧客候補に友達申請をしまくり、脈がありそうな相手とは直接会って試食してもらう。FBを通じて200万円の契約が取れたこともある。