MMTの提唱者の1人である、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授によると、ユーロという共通通貨があり、独自の通貨を持たないギリシャなどは、独自の判断で無制限の流動性供給を行うことはできない。それゆえデフォルトリスクがある。

 しかし、独自通貨を持つ米国のような国では、政府債務の増加がマクロ的な供給不足からインフレを起こすような場合でなければ、経済成長と雇用の増加が続いている限り、政府債務の増加自体は問題ない──。これがケルトン教授の説明するMMTのコア部分だ。

 政府債務残高が22兆ドル(2200兆円)に達する米国では、債務上限問題が毎回議論となるが、この理論に基づけば、まだまだ国債を出していいことになる。

 ケルトン教授は2016年の米国大統領選では、バーニー・サンダース上院議員の顧問を務めていた。サンダース氏が2020年の大統領選に出馬すると表明していることも、MMTから目が離せない理由の1つだ。

 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、2月26日の議会証言で「自国通貨での借り入れが可能な国にとって赤字は問題でないという人もいるが、私は間違っていると思う」と明確に否定した。しかし、FRB議長が議論に参戦してきたことで、逆に注目を集めるという皮肉な結果になってしまっている。

金融政策の限界論で脚光

 こうした理論が脚光を浴びているのは、世界的に金融政策の限界論が強まってきたことが背景だ。非伝統政策に踏み込んでも景気や物価の浮上効果は限定的で、次は財政が政策の中心になるの見方が増えてきている。

 中国も5日から始まった全国人民代表大会で、大型減税や融資拡大で景気を支援する方針を示した。2019年に企業の税金や手数料を約2兆元削減するほか、地方政府の特別債発行枠を2兆1500億元に設定。単純に足し合わせれば「4兆元」規模の対策になる。