18年の経常黒字19兆円の構成をみると、海外投資からの配当・利子などの第1次所得収支が21兆円の黒字なのに対し、貿易収支はわずか1兆円の黒字にすぎない。

 2011年の東日本大震災以降はエネルギー輸入が膨らみ、15年まで貿易赤字が継続。その間、日本は2000年代半ばから着々と投資してきた海外資産からの所得収益を増やしてきた。16年以降、貿易黒字が復活したが、もはやその規模は所得収支に遠く及ばない。

20年代には国内貯蓄減少、海外頼みで経常赤字に

 しかし、経常黒字も、団塊世代が75歳以上となって超高齢化社会が現実になる2022年以降、その規模が徐々に減少し、赤字に転落する可能性があるとの見方が民間エコノミストの間では多い。

 実際、経常黒字額の大部分を占める所得収支の黒字を支える対外資産残高は、ピークの14年末から3年連続で減少。18年末に回復したものの、14年比で20兆円程度減少している。

 ニッセイ基礎研究所の試算では、国内貯蓄の減少に伴い、経常収支は27年度ごろから小幅赤字に転落する。

 その試算によると、家計貯蓄率が24年以降、高齢化の影響でマイナスが恒常化。企業の内部留保も、20年代後半には設備投資増加や金利上昇、円高による付加価値減少などが予想され、減少傾向をたどる。

 慶大の竹森教授は「当面は所得収支で経常黒字が確保できるものの、貿易赤字が巨額となってくれば、経常黒字維持は難しくなる」と指摘。「貿易赤字拡大を防ぐには、輸出競争力が重要であり、そのためにも先端産業の強化が欠かせない」とみている。