――そうなると、事業形式としてはB2B(事業者向け)が主体になるでしょうか?

「最初はシェアリング事業などB2Bから入ることになるでしょう。ですが、現状のハンドル形電動車いすには、キャッシュで購入する個人のユーザーも大勢いらっしゃいます。気軽に楽しく移動できる道具として、自分自身で所有し、それを自分仕様にアレンジしたい、という需要も当然あると思います。我々としては、むしろ、多くの方に買いたいと思ってもらえる商品にしたいです」

時速300キロの世界から低速移動へ
大きな時代変化に向けて一歩を踏み出す

――では、ヤマハの今後についてお聞きします。ヤマハはこれまで、楽器事業から分社して設立され、二輪車に始まり、ボートなどのマリン、産業ロボット、電動アシスト自転車、そして往年の名車トヨタ2000GTなどの四輪車開発や自動車部品の企画製造を行うなど、幅広い事業を行ってきた企業だと思います。そうした中でいま、自動車産業や二輪車産業界が大きな時代変化に直面しています。今後、ヤマハはモビリティという観点でどういった方向に歩んでいくのでしょうか?

トヨタ2000GTなど、ヤマハがこれまで開発に関わった四輪車の展示
トヨタ2000GTなど、ヤマハがこれまで開発に関わった四輪車の展示 Photo by Kenji Momota

「これまでは、(MOTO GPのように)走行速度が時速200kmや300kmなどの世界が世の中で注目されることが多かったと思います。そうした世界とは大きく違う低速モビリティでも(お客様に)安心して利用していただけ、そして地球環境に配慮した事業として、YNF-01を含めた低速モビリティの開発を進めていきます」

 インタビュー後、ヤマハ本社に隣接するコミュニケーションプラザの展示を久しぶりに観た。

 ヤマハの歴史を振り返れば、実は二輪事業は後発だったことが分かる。その頃、国内オートバイ市場では百数十社が乱立している状況だったが、ヤマハは革新的な技術開発と周到な販売戦略で勝ち残っていった。

ヤマハは2輪車ではむしろ後発だった 
ヤマハは2輪車ではむしろ後発だった Photo by Kenji Momota

 また、各種展示を見ながら、筆者個人として若き頃にレーシングカート、原付バイク、オフロード用バイクなど様々なヤマハ商品を所有していたことを、改めて思い出した。

 今回取材した「YNF-01」の「YNF」とは、ヤマハ・ネクスト・フィールドを指す。ヤマハにとって新しい事業領域に挑戦する初号機。その未来に期待したい。

(ジャーナリスト 桃田健史)