底流に高齢化や生産性の低さといった要素がある上に、英国の欧州連合(EU)離脱といった地政学リスク、また米国の保護主義的政策が世界中にコストを生み始めているという要素が加わり、事態が悪化しているというのが、ドラギ氏をはじめとする中銀関係者の指摘だ。

 結果としてECBは今年のユーロ圏の成長率見通しを1.1%と1年前に示した2.4%の半分以下まで引き下げた。米国も大型減税などのプラス効果が消えつつある中で、減速が見込まれる。

 FRBのブレイナード理事は、海外の成長減速は当初の想定より持続的に見えると述べ、その裏には今年の成長率目標を切り下げた中国が直面する諸課題や、ドイツ経済の弱さ、日本経済のもたつきなどがあるとの見方を示した。

 そしてだれにとっても現状を打開するのは難しくなりそうだ。欧州で今後金利低下観測が生まれることは、ドル高をもたらす公算が大きく、そうなると米国の輸入価格下落を通じて物価全般はさらに軟化し、輸出コスト増大によって成長の勢いも弱まってしまう。

 つまり米経済見通しの不確実性は増し、既に大きく減退しているFRBが追加利上げする必要性は一層薄れる。

 ECBの政策転換で投資家の世界経済に対する不安感も増幅され、7日には主要株価が軒並み売り込まれた。一方米国と欧州の国債利回りは急低下した。