ドラギ氏は、1月のパウエルFRB議長の発言をなぞる形で、ECBが軌道修正を迫られた主な理由は世界経済の環境と政治リスクだったと説明。欧州の経済成長にとっての試練は、ブレグジット(英のEU離脱)や米通商政策といった「ほとんど対外的な要因」に尽きると述べ、これらの要因がいつまで世界経済やユーロ圏経済、人々の先行きへの自信に悪影響を及ぼし続けるのかが分からないと付け加えた。

 米通商政策に関する最近の調査によると、トランプ政権が導入した関税などが米国の消費者や企業の懐からこれまでに毎月およそ45億ドルを直接的に奪っているとの分析結果が示された。

 ただ、より慢性的な影響は、世界経済の回復に対する人々の自信が崩れることだろう。2017年から18年の大半の期間まではこうした自信が満ち溢れ、FRBは「諸々の追い風」のおかげで利上げを続けられると楽観的な姿勢を表明していた。

 それが今では企業投資は期待外れ、消費は予想より低調な流れに転じており、昨年終盤には市場の乱高下によって米国の家計資産は3兆8000億ドルも目減りしてしまった。

 一方ドラギ氏は欧州経済に関して、米国と同じように雇用拡大の継続や幅広い賃金上昇など経済がしっかりした状態を保っている証拠はあると主張した。それでも非常に限定的な範囲を超える経済成長を実現する力強さは見られず、主要中銀のハト派転換はせいぜい世界経済がこれ以上深刻な事態を迎えるのを食い止める効果しか期待されていない。

 ドラギ氏も、7日のECBの決定はなお下振れ方向にある欧州経済のリスクバランスの修正にはまったく役に立たず、さらなる悪化に備えるにすぎないと認めている。

(Howard Schneider、Balazs Koranyi記者)

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