景気拡大の裏で広がる格差、大手と零細企業の「二重構造」が復活写真はイメージです Photo:PIXTA

 この数年間で企業の利益が顕著に増え、株価が上がった。これがアベノミクスの成果であるとされる。

 企業の利益は、史上最高水準といわれることもある。

 だが、これは上場企業のことである。

 ニュースでは上場企業のこうした状況が伝えられるので、それを聞いていると、日本企業のすべてがそのような状態にあるような錯覚に陥る。

 大企業と零細企業とでは、状況は大きく異なり、零細サービス産業は、賃金も利益も減少している。

 こうした事情は、サービス産業に限定されたものではない。非製造業の多くの部門で見られる現象だ。

 高度成長で解消したとされていた「二重構造」が、現代の日本に復活しているのだ。

零細企業では
賃金が下がり利益が減少

 法人企業統計で、資本金1000万円以上2000万円未満の企業を「零細企業」と呼ぶこととし、その状況を、資本金10億円以上の企業(「大企業」と呼ぶ)と対比しながら見てみよう。