一眼レフの競合メーカーであるキヤノンとニコンは、機構部分にミラーを使用している。このミラーの役割をフルサイズイメージセンサーに担わせることで、一眼レフと同等の画質の写真を撮ることができ、かつボディーが小さく軽いカメラができる。

 とはいえ、小さくするだけではなく、手に持ったときのホールド感やボタンを押したときの心地よさなど、カメラに必要な要素を全て備える必要があった。「限られた大きさの中に、自分たちがやりたいことを全部詰め込むんだ」。宮井らが奮闘すること1年、遂に13年に世界初のミラーレスフルサイズカメラα7は完成した。

 これまでのミラー付き一眼レフカメラが撮れなかった写真や、持ち込めなかった撮影現場を、α7はどんどん開拓していった。

 14年。成果が出ない日々の繰り返しの毎日から8年。あのとき話すら聞いてくれなかった米国の店舗を宮井は再度訪れ、そして驚愕した。店頭にはα7がぎっしりと並び、持参する前からカタログが用意され、そしてどの店舗からも大歓迎されたのだ。

 8年前に無理を言って展示会のソニーブースに立ってもらったカメラマンからは「あのとき我慢しておいてよかったよ。当時は、ソニーのカメラを使っているなんていったら周りから思いっ切りバカにされたからな」と笑いながら言われた。8年を経て世界は180度変わっていた。

 軽さやレンズのラインアップ、プロ向けのサービスが拡充するのに伴い、αは当初は想定していなかったプロカメラマンという顧客層にも市場を広げ始めている。