中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対する数年がかりの捜査を経て、米当局は同業のファーウェイに注目するようになった。その捜査は、空港を通過するファーウェイ社員の電子機器から集めた情報によるところが大きかった。

 転換点は、2017年8月だったと関係者2人は証言する。米大統領選へのロシア介入疑惑の捜査監督者として知られるローゼンスタイン司法副長官が、ファーウェイの銀行詐欺疑惑に対する捜査の指揮を、ブルックリンの連邦検察の手にゆだねたのだ。

 15ヵ月後、これがカナダでの孟氏拘束につながることになった。

 ファーウェイとZTEに対する捜査を加速させたのは、6年前のロイターのスクープ記事だった。記事は両社によるイラン制裁違反疑惑の詳細や、イランとの取引でフロント企業の役割を果たした疑いのあるスカイコム社とファーウェイの緊密な関係について報じた。

 ファーウェイの広報担当者は今回、ロイターの問い合わせに対し、制裁違反の容疑を否定。それ以上はコメントしなかった。孟氏は無実を主張している。イランへ違法に機器を輸出したことを認めているZTEにもコメントを求めたが、同社は応じなかった。

 米司法省の広報官は、「訴追にあたり、一切の政治的介入なく、証拠と法の支配に基づき」捜査をしているとコメントした。

空港で入手した証拠

ファーウェイの孟晩舟副会長3月6日、カナダ、バンクーバーで裁判所から帰宅した、華為技術の孟晩舟副会長(2019年 ロイター/Ben Nelms)

 孟氏は今月1日、逮捕前に取り調べを受けたのは権利の侵害に当たるとしてカナダ政府などを提訴。訴えによると、彼女は2018年12月1日、バンクーバーの空港で飛行機を降りたところを呼び止められた。国境警備の当局者がパスポートを確認した上で、孟氏を別室に移動させた。

 そこで、携帯電話2台とタブレット端末「iPad(アイパッド)」、私用のコンピューターを提出。パスワードも教えるよう求められ、担当官が機器の中身を確認したという。