教養のない日本人仕事相手と、仕事やゴルフの話ばかりしている人は要注意です Photo:PIXTA

リベラルアーツの有無で
ビジネスでの判断力に差が生まれる

 ヨーロッパのエグゼクティブと仕事をしていると、政治経済や歴史、文化の話題になることがよくあります。

「あなたは安倍首相の政策をどう評価しているか?」
「歴史的に関わりの長い日本では中国の台頭をどう見ているか?」

 こうした質問をされるのです。私も最初は面食らったのですが、ドイツでもイタリアでもエグゼクティブは同じような会話をします。

 そこで自分なりの見解や意見を述べてやり取りをできないと、「教養のない人」と評価され一段下に見られてしまう感があります。日本でビジネスパーソン同士の会話というと、とくに男性同士の場合、仕事やゴルフの話に終始しがちなのとは大きな違いです。

 政治経済や歴史、文化にまたがる会話はリベラルアーツ、一般教養を身に付けていないとなかなかできるものではありません。しかしそれは海外のエグゼクティブとのコミュニケーションだけではなく、ビジネスにおいても非常に重要であると感じさせられる機会が増えています。

 現在はテクノロジーの進化も含めさまざまな物事のスピードがあまりにも速く、かつ1人の人間の頭脳では処理が追い付かない量の情報であふれていて、どう判断したらよいのかわからずに困る、という場面に多々直面します。そのとき、十二分に情報を収集し熟慮の上で判断しようとすればタイミングを失い、あっという間に世の中から取り残されてしまいます。

 見方を変えれば理屈で考えることの限界であり、ある程度の情報で自分の直感や感性を頼りに判断しなければならない場面が増えているといえます。そこで重要になるのがリベラルアーツです。リベラルアーツのバックボーンがない直感は脆弱で、判断を間違える可能性が高くなるからで、それは非常にまずい事態です。