お酒もいい感じに入り、リラックスしている。

「これはチャンスだ」と思った。

 というのも、私の前方のテーブルに会社のトップ営業マンがいたのだ。

 その隣の席が空くタイミングを計り瓶ビールを持ちながら「菊原智明と申します。ぜひつがせてください」と近づいた。

 この方と話をするのは初めてだった。お酒の力を借りて勇気を持って、話しかけてみたのだが、非常に気さくな人だった。

トップ営業マンが教えてくれた
ある「秘訣」が大きなヒントになった

 見た目はちょっと近づき難い雰囲気だったものの、とても話しやすい方だった。

 営業の秘訣について質問すると「初回接客の秘訣」について丁寧に教えてくれた。

 この方が教えてくれた秘訣とは「最初は売りの一番遠いところから入るといい」ということだった。

 売り込みから一番遠いというのは、“売らない”ということ。

 お客様に対して「この場合は購入しない方がいいですよ」と伝えるという。私はとても驚いた。当時の私にはこの発想はなかったからである。

「お客様は売り込みしない人を信用する」――。

 これはとても素晴らしいヒントであった。実際、この秘訣は、その後の私の接客スタイルを大きく変えてくれた。