共生を模索する地方自治体

 政府は2018年12月、新たな制度の発足をにらんで「外国人材受入れ・共生のための総合的対応策」を公表、増加が予想される外国人住民への支援策を提起した。実際に外国人の住民が生活することになる地方自治体の多くは、これらの対応に追われている。

 ベトナム語での労働相談窓口を設置するなど、先駆的に外国人支援に取り組んできた神奈川県の黒岩祐治知事は、ロイターのインタビューで「多文化共生は県が取り組んでいる大きな政策の柱でもある」とし、今回政府が新たな受け入れ制度を始めることについて「スピード感を持って法案成立までいった」と評価した。

 一方、「置き去りにされている問題は、たくさんあると思う。ただ、単なる労働力不足の駒として使うという発想であるならば、必ず大きな問題が生じると思う」と語った。

ベトナムの正月を祝う人たち埼玉県川口市のカトリック教会で2月、ベトナムの正月を祝う人たち(2019年 ロイター/Issei Kato)

 1970年代にベトナムから迫害を逃れて日本に渡って来た元インドシナ難民の1人、高山貴氏(55歳、現在は日本国籍)は、川口カトリック教会の新年の祭りで、楽しそうにはしゃぐ若者たちを、少し離れたところで見守っていた。

 同氏は1979年に兄と弟と3人でボートに乗って来日、これまでたくさんのベトナム人が日本で苦労するのを見てきた。今は若いベトナム人が急増しているが、将来については楽観していない。

「(リーマン・ショック後の)派遣切りの時は、ショックだった。日本人は外国人に対する寛容さがあったのに。オリンピックが終わったら、また、悲しいことが起こるのではないか。それが心配だ」──。高山氏、ベトナム名・カオ・ソン・クイ氏はつぶやいた。

(宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

Copyright©2019 Thomson Reuters 無断転載を禁じます