2008年秋以来の日本経済の大変動は、輸出の急減によって引き起こされた。以下では、まずアメリカの経常収支の動向を概観し、つぎに日本の輸出の推移を見ることとしよう。

 アメリカの経常収支赤字は、07年には7003億ドルであった。08年には6811億ドルになった。つまり、年間の数字で見れば、減少はしているものの2.7%減っただけであり、あまり顕著な減少とは言えない。

 しかし、月別の数字で見ると、【図表1】に見るように、08年の11月から急激に減少しているのだ。減少はその後も続き、09年2月には260億ドルにまで減少した。この数字に365/28を乗じて年間の数字に換算すれば、約3385億ドルになる。これは、07年の48%にあたる。

【図表1】アメリカの経常収支の推移
アメリカの経常収支の推移

 07年以降の金融危機、経済危機の基本的な原因は、アメリカの経常収支赤字が持続不可能なレベルまで拡大したことにあった。そのためアメリカに対する資金流入が変調し、住宅価格バブルが崩壊して証券化商品の価値が低下した。他方では、アメリカの輸入減少が日本や中国からの輸出の減少をもたらし、両国の国内生産の急減をもたらしたのである。

 経常収支赤字が半減したことで、この激変過程にも出口が見えた。わずか4ヶ月の間に半減したのだから、きわめて急激な変化だった。この間に、アメリカの輸入は約3割ほど減少している(もちろん、経常収支がこのレベルで下げ止まるかどうかは、わからない。さらに減少する可能性は否定できない)。

日本の輸出は3月で下げ止まった?

 アメリカの経常収支赤字縮小とほぼ歩調を合わせて、日本の輸出も08年秋から急減した。