日産とその筆頭株主であるルノーは先週、ゴーン前会長に権限が集中していた旧体制と決別し、今後は新組織「アライアンス・オペレーティング・ボード」を通じ、ルノー、三菱自動車<7211.T>との3社トップによる合議制で戦略を策定すると発表した。ルノーのスナール会長は新組織の議長に就くが、日産の会長には就任しないと明言した。

 日産の企業統治のあり方を議論している「ガバナンス改善特別委員会」(外部有識者で構成)は今月中に、役員人事や報酬に関する手続きを含め、企業統治の見直しに向けた提言を行う見通しだ。

 こうした反省は、日産の経営手法の大きな変更にもつながっている。ゴーン流経営では、「コミットメント」と呼ばれる販売と収益性に関する野心的な目標を設定し、それを達成できない場合は経営陣が責任を問われる、という信賞必罰の考えが根底にあった。

 西川CEOは社員に対し「(経営目標は)これができなかったら大変だぞということで、スレット(脅し)の形になっているように感じます。 従って、やはりそういう部分はより健全な形に変えていく必要があります」と語った。

不透明な資金の流れ

 ゴーン前会長への社内の見方が当初の信頼から深い不信感へと変質する中、同氏が独断でとりまとめたとされる様々な取引や資金の流れについての社内調査も進んでいる。同氏の逮捕へとつながった2017年からの調査を手掛けたのは、同社の唯一の社内監査役である今津英敏氏だ。

 今津氏は、オランダの子会社「Zi─A(ジーア)キャピタル」の設立目的について日産の監査を担当するEY新日本監査法人が提起した質問に注目していた、と関係者の一人は話す。ゴーン前会長が使っていた高級住宅の費用がジーアやその子会社を通じて支払われたという見方があったためだ。

 同子会社について今津氏が懸念を深めたもうひとつのきっかけは、ロイターが2017年6月に配信した記事だった、と複数の関係者は言う。その記事の中でロイターは、ルノー・日産連合に助言する投資銀行が、オランダに新設する子会社を通じてゴーン氏ら幹部に非公表の賞与を支払う案をまとめた、と報道した。