香港ドル紙幣3月21日、中国本土株の急伸を受け、香港ドルを売って人民元を買い、本土株に投資する動きが強まり、香港ドルに下落圧力がかかっている。写真は香港ドル紙幣。香港で2016年1月撮影(2019年 ロイター/Bobby Yip)

[香港 21日 ロイター] - 中国本土株の急伸を受け、香港ドルを売って人民元を買い、本土株に投資する動きが強まり、香港ドルに下落圧力がかかっている。

 香港ドルは3月初めから、当局が定めた取引バンドである1米ドル=7.75─7.85香港ドルの下限に下落し、中央銀行に相当する香港金融管理局(HKMA)が市場介入して買い支えている。

 年初からの介入回数は5回、規模は累計116億香港ドル(14億8000万米ドル)で、いずれも今月に入って実施された。

 それでも相場は同7.8475香港ドルと、下限ぎりぎりで推移している。

 これは香港のファンドや個人を含め、海外投資家が主に香港と本土の株式相互取引(ストック・コネクト)を通じて中国A株を買っていることが主因。この制度を使う場合、投資家は他の通貨を人民元に交換する必要がある。

 中国A株は年初から24%近くも上昇した。米中貿易協議が近く妥結するとの期待や、株価指数を運営する米MSCIが、新興国株指数への中国本土株の組み入れ比率を4倍に引き上げると決めたことが背景にある。

 コネクト制度を通じた香港から本土への資金流入は1、2月に1210億元と、前年同期の3.73倍に達した。

 HKMAによると、人民元は年初から2.8%上昇し、最大のオフショア人民元市場である香港の元預金は1月に2.6%減って5991億元となった。

 BNYメロン(ロンドン)の首席通貨ストラテジスト、サイモン・デリック氏によると、伝統的に人民元が下がると香港ドルも下がる傾向にあったが、昨年12月初めからは逆相関が示されている。

 投資家は低金利の香港ドルで資金を調達し、本土のA株を買っている。香港市場はキャッシュが豊富なため、資金が流出しても今のところ金利は上がっていない。

 HKMAの介入により74億香港ドルが吸収されたが、銀行システムの流動性水準を示すキャッシュバランスは689億香港ドル。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(香港)のFXストラテジスト、ロナルド・マン氏は「少なくとも世界金融危機当時の100億香港ドルまで減少しない限り、香港の金利は大幅に上昇しそうにない」と話した。

(Noah Sin記者)

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