失業対策と社会政策のために公的支出の拡大を求める欧州のポピュリスト勢力にとって、これは魅力的に響く。彼らは、中央銀行が何年も量的緩和(QE)を続けても、金融資産の価格上昇以外には見るべき成果がなかったと主張する。

 MMTの主唱者によれば、QEが2次市場における社債・公債の大量購入によって金融市場を刺激することだけを意図しているのに対して、MMTのポイントは政府支出と実体経済への資金供給であるという。

 ユーロ圏において、近い将来MMTが導入される可能性は低い。統一通貨ユーロの導入地域のルールでは、加盟国が勝手に通貨を発行することは不可能で、欧州政界の主流派はMMTを支える経済理論を相手にしていない。

 ラリー・サマーズ元米財務長官は、MMTを「迷信的な」考え方だと評した。

 だがMMTがよって立つ発想は、大型の公債発行による投資スキームを検討することに消極的な欧州の財政主流派・政界に対するイデオロギー的な抵抗をまとめ上げる支えとなっている。

 英国最大の資産運用会社リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメントでファンドマネジャーを務めるジョン・ロー氏はロイターに対し、「欧州議会選挙が終われば、欧州レベルでの財政出動・景気刺激策がはるかに盛んに論じられるようになるだろう」と語った。

ニューディール

 ロー氏は、米民主党左派の一部の売り文句である、巨額の公的投資による「グリーン・ニューディール」を求める声がまだ欧州には現れていないことを指摘する。だが、こうした政策を求める声は、投資家が真剣に検討すべきものとしては、まだ可能性にとどまっている。

 ECBは今月、QEによってインフレ率と経済成長率が上昇していないこと、少なくとも2020年までは金利をきわめて低い水準に据え置くことを認めた。こうなるとECBとしても、思い切った方針転換を求める声に弱くなる。