「ユーロ圏で最も望ましい政策は、(ユーロ圏で実施するのはほぼ不可能に近いとはいえ)中央銀行による巨額赤字の財政ファイナンスと定義される現実的なMMTだろう」と金融顧問会社INTL・FCストーンでアナリストを務めるビンセント・ドゥリュアード氏は語る。

ポピュリストの手段に

 欧州が「ジャパニフィケーション(日本型の景気低迷)」、つまり低成長・低インフレの組み合わせに陥りつつあるという議論が生じる中で、斬新な政策アプローチを求めるプレッシャーは高まっている。とはいえ、米国に比べて、欧州における議論ではMMTを求める主張はさほど頻繁には聞かれない。

 しかし、それも変わりつつあるのかもしれない。

 サクソバンクの最高投資責任者(CIO)を務めるスティーン・ジェイコブセン氏は、「欧州議会選挙の後も欧州経済の減速が続くようなら、欧州の政治家ももっとインフラ整備が必要だと言うようになり、コストを増やすことなく通貨を追加発行できると考えるのではないか、と人々は想定している」と言う。

 MMT型のアプローチに向けた動きはすでにいくつか生じている。

 英野党・労働党のコービン党首は2015年に「民衆のQE」を提唱した。政府主導で中央銀行の出資により、インフラ整備に投資するスキームだ。

 最近ではイタリアの連立与党が、低迷する経済を再生するため、EUの課す財政規律を終わらせて公的支出を増やすことを希望し、EU本部と対立した。

 フランスのマクロン大統領は、暴力を伴う街頭行動となった「黄色いベスト」運動をなだめるべく、公的支出を拡大している。