財政タカ派で知られる日本銀行の黒田東彦総裁もやはりMMTに否定的で、「広汎な支持を得られない極端な主張」と呼んでいる。

MMTの現実味

 欧州の一般市民の間でMMTを巡る議論が起きるとは考えにくいが、関心は高まっている。グーグル検索では、「ECB」よりも「MMT」の検索回数の方が多くなっている。

 イーストウエスト・インベストメント・マネジメントのアナリストであるケビン・ミューア氏は、ニュースレターの中で、主要経済国の有権者の間で怒りが広がっていることに触れ、「財政規律を維持したままの金融刺激策では、金持ちがさらに豊かになる以外の効果はない」と主張している。

 また、MMTが経済的・政治的な幻想のように見えるとはいえ、一部のエコノミストは、ポピュリズムの波の勢いを軽視すべきではないと警告する。英国が国民投票でEU離脱を選ぶことも、ドナルド・トランプ氏が大統領に選出されることも、どちらもありそうにないことと思われていたのだから。

 次のリセッション(景気後退)が訪れれば、英国のコービン氏が提案する「民衆のQE」のようなアイデアが一般化する可能性があると、ソシエテジェネラルのアナリスト、アルバート・エドワーズ氏は考えている。そのときになれば、「(マネーが)金融市場に紙吹雪のように撒き散らされるだけでなく、実際に減税や公共投資プロジェクトに流れ込むようになる」と同氏は言う。

(Julien Ponthus記者、Tommy Wilkes記者、Ritvik Carvalho記者 翻訳:エァクレーレン)

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