ガードン氏の発言は、中国の経済政策や通商政策に向けられる米国内外の企業の心持ちが、トランプ氏の戦術とまでは言わないまでも目指す結果に沿う方向に変化していることの表れだ。

 米中協議において習近平国家主席は、米国の圧力に屈して構造改革を実施するのを嫌っているもようで、関税を課される方が中国の経済発展モデルを変えるよりもましだと考えるかもしれない。

 また中国は譲歩の一環として、対米貿易赤字解消のために多額の米国製品購入を申し出ている。ただ米製品の買い入れはトランプ政権にとって抗しがたい魅力かもしれないものの、米企業が中国で地元勢との不公平な競争を余儀なくされているという問題の解決には全く役に立たない。

 米企業から不満が出ているのは、中国が知的財産権を組織的に盗み出し、外国企業に技術移転を強要している点だ。これを改めるには、習氏と共産党指導部に方針を転換してもらう必要がある。

よろめきと説得

 トランプ氏が当初今月1日に設定していた新たな対中関税導入期限を延期した際に、同氏が中国からの巨額な米製品購入提案によろめき、構造問題を放置したまま協議に合意してしまうのではないかとの懸念が生じた。

 ところがそれ以降、多数のロビイストや企業幹部、外交官、米与野党議員らが入れ代わり立ち代わり、トランプ氏に構造改革要求を堅持するよう働き掛けている。

 自由貿易推進派の急先鋒でトランプ氏の関税政策を批判してきた共和党のケビン・ブレイディ下院議員も最近こうした説得に加わり、「われわれは中国がより多くの米製品を買うのを望んでいるとはいえ、もっと大事なのは中国に知的財産権や補助金、過剰設備など世界経済を歪めてきた分野で高い国際基準を守る責任を果たさせることだ」と強調した。