民間議員が財政出動を念頭に置いた提言を示したのは、今回が初めてではない。1月30日の諮問会議でも「中長期の経済財政運営に向けて」と題した資料の中で、「柔軟で機動的な対処が求められる」と明記した。

 ただ、前回より警戒の度合いが強まっているのは明らかで、市場では「景気の落ち込み次第で、10月の消費増税前に追加の経済対策を打つのではないか」(国内大手銀関係者)との見方が出ている。

 安倍晋三首相自らが「最大の経済対策」と位置付けた2019年度予算が27日に成立した同じ日に、官邸の意向を「先取り」するとの傾向が政府・与党関係者から指摘されている民間議員が提言した内容について、無視できないとの見方が永田町で広がっている。

 ただ、政府内には「せっかく増税前後の平準化対策を打ったのに、追加対策で景気の『山』を作っても仕方ない」(政府関係者)と、一段の財政拡大の動きをけん制する声もある。

 28日の日経平均は前日比300円を超える下落となり、2万1000円をめぐる攻防となっている。与党内には、安倍首相の決断次第では、10月の消費増税引き上げの延期もあるのではないかという思惑がくすぶっている。

 予算案の効果を見守るか、補正などの追加財政措置を早期に取るのか、消費増税自体をやめるのか、その帰すうは世界経済の動向と安倍首相の判断にかかっている。

(マクロ経済取材チーム 編集:田巻一彦)

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