初の自伝『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ワニブックス)と、自身の仕事術をまとめた『捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法』(かんき出版)を立て続けに出版した須田仁之(きみゆき)氏。同氏は投資家、実務の支援家として、スタートアップ界隈ではその名を知らぬ人はいないと言っても過言ではない人物だ。須田氏は起業家に対して、「ビジネス本にあるような『成功の法則』を鵜呑みにするな」と警鐘をならす。その真意とは。(編集・ライター 野口直希)

社外取締役はツッコミを入れる役割

須田仁之氏
すだ・きみゆき/1973年茨城県牛久市生まれ。ソフトバンクグループの経営企画、アエリア社取締役CFOを経て、現在は複数のベンチャー企業の役員・アドバイザーを務め、エンジェル投資家ならぬ「エンジェル労働家」を名乗る。
Photo by Yuhei Iwamoto

 1990年代、カリスマ経営者として知られるソフトバンク孫正義の下で「Yahoo! BB」を立ち上げ、2000年代にはアエリアCFOとして子会社を約100億円で売却――。その実績をもとに、エンジェル投資家やアドバイザーとして活躍する須田仁之氏。

 同氏はこれまで、クラウドワークスや弁護士ドットコムなどの上場を支援してきたほか、合計30社以上のスタートアップに関わってきた。須田氏は投資家、そして支援家として、日々どのように活動しているのか。

 取材に訪れたのは、須田氏が社外取締役を務めるスタートアップのオフィス。彼は毎日のように支援先各社のオフィスを訪れ、経営会議に参加している。関わる領域も、エンタメから技術系のスタートアップまで幅広い。そのためアドバイスを求められるのは、人材の悩みから資金繰り、ビジネスの方向性などさまざまだという。

「基本的になんでも相談に乗りますし、会社によって関わり方もバラバラですよ。経営会議で出たあらゆる話題に対して『それはおかしいでしょ』とツッコミを入れる役割です」

「経営メンバーの対立」は日常茶飯事

 須田氏のもとに寄せられる相談事でもっとも多いのは、「ヒト」の問題だ。

「経営メンバーどうしで意見が対立することは日常茶飯事。僕を社外取締役に誘ってくれた人がすぐに辞めてしまい、ほとんど面識のない役員と今後の経営戦略を語ったこともありました。また幹部候補を採用するときでも、経歴を詐称した職務経歴書を受け取ることがあるので注意しています」