不足しているのは、経営者よりも「ナンバー2」

『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』書影
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 最後に、須田氏がベンチャー社員として働いていた頃と、いまのベンチャーの違いについて訪ねてみた。

「泥臭く働く会社は減りましたね。ベンチャーでもきちんと法令や規則を守る会社が増えています。僕がソフトバンクに勤めていた頃は、不眠不休で働き、24時間ずっとYahoo! BBのことしか考えていなかった。これにはもちろん良い面も悪い面もありますが、いまのルール通りの戦い方で成功できるベンチャーはひと握り。厳しい環境だと思います」

 30社以上のベンチャーを支援する立場でありながら、本心では「若者が起業すべきだとはあまり思っていないんですよ。『起業しろ』と言う投資家もいますが、僕は『起業するな』と言うくらい」だと明かす。むしろいまベンチャー業界に足りていないのは、経営者を支える「ナンバー2」だという。

「経営者に力があっても、組織全体でのチーム力がいまいちなベンチャーが多い。財務や戦略面などで経営をリードできる起業家の右腕的な存在がいると、組織の力はグッと高まります」

 ベンチャーというと経営者ばかりが目立つが、自分で起業するのではなくトップを支えるのも重要な役割。実際、最近はメルカリやミラティブなど、CFO(最高財務責任者)やCOO(最高執行責任者)が目立つ企業も増えている。

 須田氏が担っている社外取締役も、少し引いた位置から組織を支えるポジションだ。その判断の礎にあるのは、やはり孫正義の下で働いたソフトバンク時代なのだろうか。

「正直、スキルアップにつながったのかはよくわかりません。あれは戦争経験みたいなものだと捉えていて(笑)。辛いことがあっても、『あの頃よりはマシだな』と踏ん張ることができる。私自身もまだまだですが、精神的には少し成長できたのかもしれませんね」