「#MeToo」運動の広まりによってセクハラ撲滅への動きが加速している。一方、そのバックラッシュ(反動)は好ましくない状況を招きつつある。男性上司が女性部下と必要以上に距離を置くようになり、メンタリングを放棄しつつあるのだ。この過剰反応は部下の成長機会を奪い、組織全体にとっても悪影響を与える。筆者は、男性上司が優れたメンターになるための5つのアドバイスを贈る。


 SNS上でセクハラの被害体験を共有する「#MeToo(ミートゥー)」運動に、男性の上級幹部は「君子危うきに近寄らず」の姿勢で応じていると報じられている。セクハラ加害者に仕立て上げられる懸念から、女性従業員へのメンタリングから手を引いているのである。

 しかし、このバックラッシュ(反動)は事実に基づいたものではない。根拠のないセクハラ被害の訴えはわずか2%であり、その他の犯罪と同じ率である。

 この過剰反応は差別意識を示しているだけでなく、長期的な視点に欠ける。女性従業員のメンタリングをしないことで、彼女たちはカウンセリングや成長の機会を奪われ、上司や先輩から教えを受けることもなく、組織内での認知度も上がらないままとなる。これは、組織にとってもよくない結果を招くことになる。

 解決策は、いたってシンプルだ。女性リーダーを増やしたいのなら、必要なのは、高い地位にいる男性が女性の昇進をサポートすることである。

 バブソン大学で教鞭を執る筆者は、メンタリングに関する研究や講演、執筆に携わっている。メンタリングとは、キャリア上のサポート(組織に影響力を持つスポンサーが、選抜されたプロテジェと呼ばれる対象者を特定のポジションに引き上げるための個別支援、コーチング、上司や先輩からの学び、難しい課題の割り当て)から、心理社会的なサポート(奨励、カウンセリング、友情)まで、多様な形を取る。

 メンタリングを受けたプロテジェ(または被育成者、メンティ)はより多く稼ぎ、より早く昇進し、仕事への満足度も高い。最も重要なのは、自身のパフォーマンスやキャリア、そして自分の置かれた職場環境をよりよくする方法を学ぶのである。

 筆者は、志が高い男性エグゼクティブたちとの何十時間にもおよぶ話し合いを経た結果、乗り越えるべき課題が1つ、浮き彫りになった。今日の職場において、男性はメンタリングにどのように取り組めばよいのか。以下、5つの提案を記す。