寺師副社長は特許開放を発表した3日の会見で、ここ数年で他社にも「電動化に向けての現実的な解は、HVだと十分理解され始めてきた」と話した。

 世界で最も厳しい基準とされる欧州の規制は、30年に二酸化炭素(CO2)を今の規制値の半分に削減する目標となっている。寺師副社長は、目標達成には各社の販売台数の50%をEVなどのゼロエミッション車(走行時の排出ガスがゼロ)に置き換えなければならないが、「EVは電池のコストが高いので、EVの比率が高ければ高いほど、企業の収益にかなり大きな(マイナスの)インパクトを与える」とみており、HVで極力CO2を削減し、足りない部分をEVで置き換えるのが一番現実的だと考えている。

 モーター、パワーコントロールユニット(PCU)、電池という3つのHVの基幹部品のうち、トヨタはモーターとPCUの関連特許を無償提供する。これらの部品はEVやFCVでも共通で使われるため、PCUなら「この10年間で10倍くらいの(市場)規模になるのは間違いない」(寺師副社長)。HVからの「仲間づくり」が将来に向けてもいっそう大事になる。

 系列サプライヤーの幹部は「トヨタはEVで出遅れ、エコカーの本命として推してきたFCVの普及も想定通りに進んでおらず、焦っている。特許開放で起死回生してほしい」と期待する。トヨタはトラックやバスなどでFCVの展開に力を入れるほか、量産FCV「MIRAI(ミライ)」の次期モデルには窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を吸引して排出する空気をきれいにするフィルター機能を付ける予定で、ゼロエミッション車からさらに進み、空気もきれいにする「マイナスエミッション車」として訴求する考えだ。