リスクオンムードが市場に広がれば、円は売られやすくなる。実際、市場心理の明暗を反映しやすいとされる豪ドル/円は昨年12月以来、幾度も阻まれてきた80円の上限をようやく突破。この日も続伸し、4ヵ月ぶり高値を更新した。

経常黒字でも毎月1兆円超の円売り圧力

 日本企業による相次ぐ海外企業の買収で、日本の国際収支に構造的な変化が起こっている点も見逃せない。日本は世界でも代表的な経常黒字国であるものの、それに関連して実際に発生する円相場の売買は毎月1兆3000億円程度、円売りが円買いを上回っている可能性があるとの試算が出てきた。

 経常黒字の中には、外貨準備から発生する利子など所得収支黒字として計上されるが、実際は外貨のまま保有されるものも多い。

 シティグループ証券・チーフFXストラテジスト、高島修氏は、そうした未実現の円買いや海外企業買収に関連した円売りなど、いくつかの項目ごとに仮定を置いて推計。「経常収支と直接投資収支を合計した基礎収支に、非常に大きな構造変化が起こっており、日本にお金が戻りづらくなってきた。円売り超の需給環境は、最近円高が進みにくくなったひとつの背景だ」と説明している。

(基太村真司 編集:田巻一彦)

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