厳しさを増す「懐事情」

 体制整備のためのコスト上昇とともに、仮想通貨取引業者を圧迫しているのが、市況の低迷だ。2017年の登録制開始前からビジネスを展開していた一部の業者は、急騰する前のビットコインを保有していたため、新規投資に動きやすかった。

 しかし、ビットコインは現在、5000ドル台で、17年12月につけた約2万ドルの最高値の4分の1程度の価格に下落。「業者の懐事情は厳しくなっている」(金融庁幹部)とみられている。仮想通貨の価格変動率の拡大や価格の上昇基調がなければ、利用者の取引量拡大も見込みにくい。

 その一方、金融庁は新規参入を希望する会社の審査を強化している。1月にはコインチェック、3月には楽天ウォレットとディーカレットが新規に登録業者となった。

 しかし、コインチェックと楽天ウォレットは、制度開始前からビジネス展開していた「みなし業者」で、実質的な新規参入はインターネットイニシアティブ傘下のディーカレットのみ。

 仮想通貨交換業の登録を目指し、金融庁に照会してきた業者は約120社。このうち、役員面談、書類審査、訪問審査からなる「登録に向けた主要プロセス」に入ったのは「7―8社程度」(金融庁幹部)だという。

 マネーフォワードに立ちはだかった2つの難題に、新規参入組は立ち向かうことになる。「当局との対話を円滑にこなし、資金力もある大手金融グループの傘下でないと、新規登録は難しいのではないか」(業界関係者)との声が出ている。

(和田崇彦 編集:田巻一彦)

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