大阪市は、この問題を極めて大胆に解決した。生活保護世帯を、通常のケースワークの対象である一般世帯と、「とりあえず生存確認プラスアルファ」で良しとする高齢者世帯に分け、全く異なる人員配置を行ったのだ。ケースワーカー1人あたりの受け持ち世帯数は、2006年、80世帯(60歳未満)または380世帯(60歳以上の世帯)と定められた。

 2015年以降は70世帯(60歳未満)、140世帯(60~64歳)、380世帯(65歳以上)に見直された。この後、高齢者世帯を担当するケースワーカーの業務が過重化したことから、2018年度末に再び見直され、現在は80世帯(64歳以下)および280世帯(65歳以上)となっている。

大阪市で高齢者世帯の
ケースワーカーが手薄な理由

 大阪市が、60歳未満または64歳以下の人々に対して重点的にケースワーカーを配置する大きな目的の1つは、就労支援と就労指導だ。高齢者世帯に対しては、就労を働きかけても成果に結び付きにくい。そのため、ケースワーカーの配置を大胆に手薄にしているのだ。さらに、高齢者世帯に対する訪問調査を、人件費の低い嘱託職員などに行わせ、正規職員のケースワーカーはマネジメントに専念させ、生活保護の運用に関わる人件費を削減している。

 生活保護制度運用の効果を就労によって測るのであれば、生産性の低いケースワークに対して人件費をかけないことは、解の1つだ。良く言えばメリハリの効いた人員配置だが、業務内容や適法性の面から見ると、やはり問題だ。

 厚労省からの度重なる指摘に大阪市が応じずにいるうちに、追随する自治体が現れるかもしれない。都道府県や厚労省から指摘を受けた場合は、「大阪市に前例がある」と答えれば済む。

 雪崩のような「何でもあり」の激変を止められなくなる前に、すべての有権者にできることがある。ご自身の住む街の生活保護への関心と考えを、選挙での投票行動で表現することだ。そのためには、まず、激変をもたらすパワーの正体を見極める必要があるだろう。