一方で、「1人ひとりを深く知る」という意味では、通年で時間をかけてもなかなか難しいのが新卒採用である。グーグルやfreeeで新卒採用に携わってきた体験を踏まえて、そう痛感している。

 たとえば中途採用であれば、「仕事でこういう困難な状況があって、こんな風に乗り越えた」みたいなところをうまく知ることができると、その人のことを理解しやすい。この人と一緒に、新しいことを学んでチャレンジしていけるか――。僕たちが大事にしているそうした価値観や考え方も、見えてきやすい。

 けれども、学生の場合はなかなかそういうわけにはいかない。経験のバリエーションがどうしても限られてくるからか、質問に対して大体みんな同じような答えが返ってきたりする。アルバイトで、ボランティアで、学業で、部活でどう活躍したのか――。そんなパターンくらいに集約されてくる。その中で、「じゃあ、他の人よりどうすごいのか」といったことを見極めるのは、すごく難しい。

 そもそも学生の場合、頑張ってどうしても乗り越えなきゃいけない境遇に置かれたことがない人もたくさんいて、余計に難しいのかもしれない。

お互いをよく知るための
「入り口」は色々あった方がいい

 お互いをよく知るという点では、通年をかけてもなかなか難しい新卒採用である。究極的には会社の都合でしかない一括採用ともなれば、当然ながら1人ひとりを深く見て知る機会は多くないだろう。

 本当は、なるべく1人ひとりを深く知って採用する方が、お互いにとっていい。新卒研修もまとめてやるよりは、どうすれば1人ひとりの力を伸ばせるのか、どういうところにモチベーションがあるのか、といったところを最初から見極めて成長の機会をつくる。これは最終的には、会社にとっても学生にとってもハッピーだろう。

 それなら、いわゆる世間の波に合わせて採用活動をする一方で、「そうじゃない入り口もたくさんある」という状態が大切になるんじゃないだろうか。