世界の主要な株式市場の中で、最も出遅れが目立つ東京市場のパフォーマンスを一段と悪化させかねない問題が出てきた。

 それは、この市場でインサイダー取引が横行しているのではないかとの不信感だ。

 背景には、インサイダー取引の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けた独立系の投資ファンド運営会社ユニゾン・キャピタルの問題と、直嶋正行経済産業大臣が7-9月期のGDP(国内総生産)速報値を16日朝の発表前に漏らした問題の2つがある。

 海外投資家の間には、相変わらず外需頼みの経済構造や民主党政権の経済政策への不信感、そして最近の大型増資ラッシュに伴う株式市場の需給悪化懸念などと並んで、このインサイダー取引横行の疑いを見逃せない問題とみなす向きが増えているという。

 放置すれば、海外投資家の日本株離れを加速して株安が誘発され、その株安が一段の海外投資家離れを招く悪循環に陥りかねない。抜本的な信頼回復策が必要ではないだろうか。

海外市場の堅調とは対照的に
まるで元気の無い日本株

 1昨日(11月18日)、東京株式相場は最近の勢いの無さを象徴するような展開に陥った。日経平均株価が前日比53円13銭安の9676円80銭と約1ヵ月ぶり(10月5日以来)の安値を記録したのだ。東証株価指数(TOPIX)はさらに深刻で、同6.94ポイント安の850.06と約半年ぶり(今年5月1日以来)の安値を付けた。

 対照的に、海外市場はこのところ、どこも堅調な動きをみせている。例えば、ニューヨーク市場は17日、ダウ平均(工業株30種)が、前日比30ドル46セント高の1万0437ドル42セントと2日連続でほぼ1年1ヵ月ぶり(昨年10月2日以来)の高値を更新し勢いの強さを見せた。

 ロンドン市場では16日、FT総合株価指数(SE100種)が4日連騰となり、前週末比86.29ポイント高の5382、67と昨年9月以来という高値を記録した。

 さらにアジアでは18日、上海株が4日続伸となり、上海総合指数は前日比20.345ポイント高の3303.234とほぼ3ヵ月半ぶり(8月6日以来)に3300ポイントの大台を回復した。