企業が人材開発に投じるコストは拡大しており、研修内容はどんどん充実している。ただし、研修の中身がどれほど優れていても、肝心の参加者が集中していなければ意味はない。能力開発の専門家も学習者も何よりまず、集中することに集中する必要があるのだ。筆者は、そのためにはマインドフルネスの訓練が有効だといい、4つの方法を提示する。


 米国の人材開発協会によると、米企業は従業員の研修と能力開発に年間1600億ドル以上を投じているという。その中には、講座、施設、システム、ツールへの投資が含まれる。

 しかし、学習者の意識づくりに対しては、時間もお金もほとんど費やされていない。実際のところ、学習者が目の前の瞬間に集中する意思能力を持ち合わせていなければ、研修への投資は実を結ばないのだ。

 あまりに多くの人々が、雑念でいっぱいのまま学習体験を始める。頭の中が満杯で、さらなる情報や新しいアイデアを取り込む余裕はわずか、あるいは皆無なのだ。企業が研修への投資効果を最大化するには、能力開発の専門家も学習者も皆、集中することに集中しなければならない。

 では、どうすればいいのか。マインドフルネスの訓練をすればよい。マインドフルネスの訓練によって、集中力、記憶力、実行力などの認知機能が高まることが証明されている。

 これらはすべて、学習に欠かせない特質だ。集中力のコントロールを身に付けることが、マインドフルネスの核である。

 だが、マインドフルネスのプログラムを始める時間(あるいは願望)が必ずしも全社員にあるとは限らない。そのため、講義での体験にマインドフルネスを取り込めるかどうかは、能力開発の専門家にかかっている。

 以下に、そのための方法を紹介しよう。