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レビュー

『平成最後のアニメ論 教養としての10年代アニメ』書影『平成最後のアニメ論 教養としての10年代アニメ』 町口哲生著 ポプラ社刊 1188円(税込)

「この講義を受講する者は、深夜枠を中心に週に20本以上『アニメ』を視聴しておくこと」――著者は大学で講義する際、そう注意をしたという。

 本書『平成最後のアニメ論 教養としての10年代アニメ』はその講義内容をもとに書籍化したものだ。ただ一般向けの新書ということもあり、週に20本以上のアニメを見ていなくても十分に理解できる内容となっている。「教養としての10年代アニメ」という言葉には、アニメに関する知識を現代文化のひとつの「教養」として知ること、アニメを通してさまざまな「教養」(学問的知識)を得ることの2つの意味が込められているようだ。

 本書では『君の名は。』『けものフレンズ』など、10年代を代表するアニメが7つ取り上げられている。著者の言うように、こうしてみると10年代アニメは設定を練り込み「世界観」にこだわったものが目立つ。日本古来の文学や芸術作品、文化や風習が取り入れられたり、現実世界の社会情勢が反映されていたり、歴史・哲学・科学的な考察が軸に置かれていたりする。