このように、ギリシャは、今後少なくとも2014年まで、EUやIMFから巨額の支援融資を受け続けなければ、財政・経済運営を継続できないという、極めて厳しい状況にある。支援融資を受け続ける以上、欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)、IMFのいわゆる「トロイカ」による、ギリシャの財政運営への厳しい監視状態は続く。

 そうした支援が続く前提で、かつ、比較的楽観的な欧州委員会の成長見通しが達成されたとしても、ギリシャの債務残高が名目GDPを下回るのは、2020年代に入ってからである。このような「終わりの見えない厳しい財政緊縮」への民衆の不満が、5月の総選挙で与党が大敗した背景であるといえよう。

ギリシャの立場で
考えられる選択肢

 5月の総選挙で第2党に躍進した急進左派は、財政緊縮路線の放棄を掲げ、国民の支持を集めている。ただし、「財政緊縮放棄」といっても、その対案について具体的なアイデアは明らかにしておらず、持ち合わせてもいないようである。一方で、ユーロ圏には残留するとしており、ギリシャ離脱の場合には、ユーロ圏他国の側にも多大なコストが発生するため、それを避ける力が働き、残留は可能であると考えている模様である。

 しかしながら、客観的に考えれば、ギリシャ側が緊縮路線を放棄して、それによって不足する財源を、ユーロ圏他国やIMFが追加支援融資で供給するとは、極めて考えにくい。仮に再選挙後、ギリシャが本当に緊縮路線を放棄するのであれば、再度のデフォルト以外に途はないものと考えられる。

 その際、今年3月のように、民間債権者側に自発的な債権放棄を求め、かつ、応じなかった債権者にも、「集団行動条項」適用によって元本カットを強行する、というアプローチをとることはもはや不可能である。債権放棄によって交換されたギリシャの新国債は、再度のデフォルトで損失を被ることは回避したいという債権者側の要望に基づき、イギリス法に基づいて発行されている。

 イギリス法は、わが国を含む先進国の民事法制が共有する、国民的常識に基づく基本的な価値観を共有するもので、破産法制に債権者平等原則の定めもないギリシャ法とは異なる。金融取引の一方の当事者に、事後的な取り決めで不利益を押し付けることも許されない。3月のような債務調整を再度、行うことは事実上不可能だ。