どのメガバンクグループも傘下にVCを抱えているが、CVCは、投資リターンを求める通常のVCと異なり、出資先と自社との提携策を最優先するファンドのことで、CVCを立ち上げたのは三菱UFJFGが初めてとなる。

 同ファンドは、2月に第1号案件として個人向けの資産管理アプリを提供するマネーツリーに出資。金額は約5億円とされる。さらに4月には、第2号案件として仮想通貨のマネーロンダリング(不正資金の洗浄)対策サービスを展開する米国のチェイナリシス社を選び、約200万ドルの出資を実行した。

 三菱UFJFGはこれまでも、傘下の銀行や三菱UFJキャピタルを通じて新興企業へ出資しており、なぜあえてCVCを立ち上げるに至ったのか。運営会社である三菱UFJイノベーション・パートナーズ(IP)の鈴木伸武社長に、狙いを聞いた。

銀行が欠いていた“厳格”な投資判断

――三菱UFJIPを立ち上げた目的を教えてください。

 私たちのグループには、三菱UFJキャピタルというVCがあり、そこが純投資やエクイティ(株式)投資を通じた新規の顧客開拓を担当しています。私たちは戦略投資を中心にやっていて、立ち位置は明確に異なります。

 三菱UFJ銀行としても、デジタル企画部という銀行内の部隊で、すでに過去3年ほどフィンテック分野の戦略投資を推進してきました。件数にして十数件、金額にして50億円弱を積み上げています。

 この取り組み自体はうまく行ったと思っています。ただ、部隊の中に投資の専門家がいたわけではなく、さらに他の信託銀行や証券会社などのグループ会社とのシナジーをさらに追求する必要がありました。こうした考えから、持ち株会社の傘下に組織を作ったほうがいいと判断して(三菱UFJIPとして)スピンオフし、さらに投資業務の経験者を外部から採用しています。

 また、投資目的の明確化を掲げました。というのも、これまでは必ずしも戦略的な目的を詰めて投資したわけではなく、スタートアップ企業との関係の延長線上で投資に至ったものがあったからです。これをよりシャープに進めるため、新技術と銀行のサービスを組み合わせて新たな金融サービスを作る「協創型」や、AIなどでコスト削減を図る「業務改善型」など、投資目的を5つに分類しました。これを軸に、3割くらいを日本の企業に出資し、米国やアジアにも3割ずつ出資していきます。