およそ10年前の夜の街。飲食店の多くが、接待需要のビジネスパーソンで溢れていました。「もう1軒行きましょう」とお客様を誘って、居酒屋、カラオケ…とはしごする姿は、日本経済が元気である象徴だったといえます。

 ところが、最近はリーマンショック、円高、震災などの影響から、コスト削減のために接待を控える企業が増加。さらに、過度な接待を控えるなどの自主規制を行う業界も出てきました。

 では、このまま接待は不要な時代になるのでしょうか?いえ、必ずしもそうとは言い切れないでしょう。回数が減少するとはいえ、仕事で接待をする機会に遭遇することはやはりあります。

 そこで今回は、入社2年目で初めて接待をすることになり大慌てする、ある社員を一例に、イマドキ接待のあるべき姿について考えてみましょう。

営業なのに入社2年目にして
初めての接待!?

 商社に勤務している入社2年目のDさん(23歳)は、お客様との打ち合わせに上司が営業同行したとき、初めての仕事を任されました。それは「接待の仕切り」です。取引先の応接室で一通りの打ち合わせが終了するなり、上司がこう話を切り出しました。

「今回はいろいろご迷惑おかけしました。それでも何とかプロジェクトをここまでこぎつけることができましたので、当方で宴席を一席設けさせていただけないでしょうか?」

 実はDさんがお客様への納品に際して、多少の誤解を招く発言をしてしまったため、クレームを受けていました。そのフォローも含めて上司が同行してくれたのですが、フォローが接待につながるとはDさんは思いもよらなかったようです。

「今までなら、お詫びの一言ですべてクレームも収拾してきた。なんで、今回に限って接待に持ち込んだのだろうか?」

 上司の対応に対して、心のなかで首をかしげています。確かに、ここ1年間でみれば、Dさんの職場では業績が芳しくなく、経費削減を厳しく管理部門から言われていたので、周囲で接待している営業を全くみかけませんでした。ところが、多少は業績が回復してきたからでしょうか?職場では先輩達がお客様との会食に出かけている…との話をよく耳にするようになりました。

「いやあ、昨日は取引先と2次会まで行ったので、帰りは12時を過ぎてしまった」
と、接待疲れを自慢する先輩まで増えてきています。