
ドナルド・トランプ米大統領は対中貿易交渉の行き詰まりを受けて、新たな追加関税を中国に突き付けた。これを受けて6日の金融市場は混乱した。われわれは、関税による瀬戸際戦略が建設的合意という形で実を結ぶのか、両国に打撃を与える応酬の激化につながるのか、間もなく知ることになるだろう。
トランプ氏の一方的な関税措置はこれまで、米国の貿易赤字に関する曖昧な分析に基づいた怪しい論理によるものだった。鉄鋼・アルミニウム関税では同盟諸国との無用な対立を招いた。しかし、関税措置が十分に正当化される相手国が一つだけがある。それが中国だ。中国はこれまで、自ら同意し利益を得てきた国際貿易規則に、あまりにも頻繁に違反してきた。企業秘密や知的財産権を盗み、懲罰的規則によって外国企業に不利な条件を課してきた。中国による自由貿易の悪用は、米国内で自由貿易への政治的支持を弱めてきた。
米国は、同盟諸国と対中統一戦線を組織した方が良かっただろう。しかし、トランプ氏は単独行動主義者であり、得意とする対処法は関税だ。トランプ関税が中国政府に協議を促したことは否定できない。ただ、こうした関税は農業分野を中心に米国の消費者、生産者にコストを課している。中国の略奪的行動の是正につながらない限り、関税は破壊的影響をもたらすだろう。
トランプ氏と中国の習近平国家主席はともに合意を望んでいるが、譲歩しすぎたと見られることは、どちらも望んでいない。トランプ氏は、貿易の不透明感を払拭するために合意を必要としている。多くの最高経営責任者(CEO)らは、不透明感があるために事業投資が鈍化していると指摘している。トランプ氏は5日のツイートで、自ら導入した関税が米経済の好調さの一因になっていると主張したが、これは事実に反している。米経済は関税にもかかわらず成長しているのであり、米製造業の就業者数は今年、中国経済の鈍化を一因として減少している。