足の痛みは膠原病が原因だった。写真はイメージです Photo:PIXTA

長引くかゆみ
最初はしもやけだと思った

「この頃しょっちゅう、かゆがっているね」

 夫の正男さん(仮名・66歳)に指摘され、栄子さん(仮名・55歳)はハッとした。

「そういえばそうね。なんか足が冷たいな、冷たいなと思っていると、妙にかゆくなるのよ」

 栄子さんは冷え性だ。1年中靴下を履いている。寒い季節は特につらく、足先や手指の先が氷のように冷たくなる。それはもう慣れた感覚だったが、今年はなんか違った。水仕事の際には、冷たくなるのに加え、真っ白になる。血がまるで通っていない、日本人形の指のようだ。さすがにここまで白くなったことはない。温めると血の気は戻るが、今度はしばらくの間赤くなり、かゆい。最初はしもやけかと思ったが、そうでもない。

(靴下を履いているから分からないけれど、足でも同じことが起きているのかしら)

 不安になり、一度近所の皮膚科を受診してみたが、「手を冷やさないように、水仕事のときにはゴム手袋をしてみたら」と言われ、かゆみ止めの塗り薬をくれた。

「そんだけかゆいってことは、水虫なんじゃないか。夏だけじゃなく、冬にかかる人も多いらしいぞ。特に寝るときも靴下を履いている女性はなりやすんだって」

 正男さんにそう言われ、試しに水虫用の薬を塗ってみたがまるで効かない。

 夫婦は2人暮らし。3人の子どもは全員成人して所帯を持ち、上の子ども2人は車で2時間ほどの県庁所在地に、末っ子は東京に住んでいる。車で10分ほどのところに大きな病院はあるがいつも混んでいるし、さんざん待たされたあげく、「なんでもありませんよ」と言われでもしたらと、考えるだけで億劫(おっくう)だった。

「痛い」

 ある日、足のかゆみは突然、痛みに変わった。とてつもなくズキズキする。慌てて靴下を脱ぎ、ぎょっとした。右足の指が3本、紫に変色していた。