シャープ決算会見に登壇したシャープの野村勝明副社長 Photo by Masataka Tsuchimoto

 液晶事業への過剰投資で、数年前まで経営危機に陥っていたシャープ。2016年8月の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業による買収後は徹底した経費削減や中国での液晶テレビ好調などで、18年3月期決算に4期ぶりの最終黒字を果たした。だが足元は米アップルへの電子デバイス販売の減速などで成長が鈍化している。

 19年3月期の通期決算が9日発表され、売上高2兆4000億円(対前期1.1%減)、営業利益841億円(同6.6%減)、純利益742億円(同5.7%増)。鴻海傘下に入って以降、初の減収、営業減益となった。

 鴻海から派遣された戴正呉シャープ社長(現在は会長兼務)が新中期経営計画(18年3月期~20年3月期)を示して業績のV字回復を誓ったのは17年5月。今期で中計最終年度に入ったが、「有言実行が信条」という戴会長兼社長の思い通りには進んでいない。

 掲げていた20年3月期の目標売上高3兆2500億円、営業利益1500億円はこの日の決算会見で事実上撤回した。20年3月期予想を売上高2兆6500億円、営業利益1000億円と発表したからだ。