グリップが握れなくなったルノー

 そして5月16日付けで、日産は新たな役員体制を始動させる。ルノーの意向に左右される株主総会前に刷新したのがポイントだ。

 表向きは、日産再建のための人事刷新ではあるが、虎視眈々と経営統合をもくろむルノーを迎え撃つ布陣でもある。

 実際に、エグゼクティブ・コミッティ(最高意思決定機関)のメンバーを増員することで、ルノー役員の影響力を低下させている。

 利益貢献の低下、配当金搾取システムの崩壊、日産社内の役員人事──。ルノーがアライアンスのグリップを握れなくなってきている。

 これまで、ルノーが日産へ過半出資をしているわけでもないのに、日産とのアライアンスにおいて43.4%の出資以上の“主導権”を握ってこられたのは、ゴーン氏の存在があったからに他ならない。

 だが、ゴーン氏は失脚した。日産とルノーがこのままの出資構成で「緩やかなアライアンス」を続けていくと、ルノーの“実入り”が減ることだけは間違いない。

 かといって、規模に劣るルノーが日産というパートナー無くして生き残れるわけではない。

 規模拡大によって生き残りを図ること。そして、これまで通り、アライアンスの主導権を握り続けること。この二兎を追うためには、ルノーは「経営統合」という組織体が最適解であると考えているのだろう。

 会見の席上、西川社長は「スナールさん(ルノー会長)が経営統合の方向性がいいという考え方を持っているのは承知しているが、私の考え方とは違う。スナールさんと確認しているのは、経営統合の話は今ではないということだ」と統合論を牽制した。

 だが、今回の日産の業績不振が、むしろルノーを経営統合論へと走らせる起爆剤になっているともいえる。経営統合の「Xデー」はむしろ近づいているのではないだろうか。

(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)